地域戦略事業部 東北・北海道エリア開発セクション
ドキュメンタリー・トタンナー  松田 葺太郎

目に見えるモノ、目に見えないコト

一見、「トタンを塗る」という行為は
当たり前の行為である。見てわかる。
”ああ、トタンにペンキを塗っているんだ”って。


けど、目に見えるモノと、
目に見えないコト、
つまり『塗った先にあること』は違う。
明らかに違う。

たぶん、”見てわかる人”っていうのは、 本当のところ”探そうとしていない”のではないか。


そういう人は、最初から与えられたものだけ
受け取ることに慣れているから、
そのなにか問題提起をされたときに
全く考える力がなくなっているのだと思う。


それをきっかけに、なんでトタンなんだろうって、
考えることが面白いんだって、
トタン葺きの連中は”わかり始めたんだ”と思う。


ああ、たくさんの人が手伝っているんだ、
トタン塗りは生活の中で重要なことなんだ、
これは自分の生活や人生を見直すことなんだって
わかると違うものが見えてくる。
それが見えない人がいる。


それを見せたい。
それがドキュメンタリー・トタンナーの使命だとおもう。


たぶんトタンの連中は、これがすごい活動だってことを
周りに伝えようと思っていないと思う。


それは彼らがオーディエンスに対して、
かろうじて自分の友達にウケル?くらいの感覚でしか
伝えようとしていない、「孤立行政法人」だからだと思う。


たぶんトタンの連中は、これがすごい活動だってことを
周りに伝えようと思っていないと思う。


けど、彼らの活動は、必ず記憶に残る活動になるであろう。
「塗ること」は手段であるが、必ずしも目的ではない。


「ペンキを塗ること」は、やもすれば、自分が成長すれば
時間とともに風化し、さびてなくなってしまうものである。


人間、年をとれば顔が変わり、昔出会った友人と同じく出会うことは、生き続ける限りありえない。


けど目を閉じれば記憶の中にある。


目には見えない、
トタンを塗ったあのときの光景が。


なにも言わなくてもいい。
何も語らなくてもいい。


塗りにきた人だけの心に残る、
トタン葺き推進機構であればいいと思う。


だからトタンは活動している人数がすごい、
名刺がすごい!プロモーションがすごい!
トタンのなにがすごいの?
いやちがう、
”彼らがトタンを塗ってきたから、ここまできたんだ。”


見えるモノを見えないコトに昇華する。


記憶に残る記録こそ、僕が映すべきものである。


 


 

■プロフィール

まつだふきたろう・・・かんがえちゅう