クロマニヨン力とは

ベーシック・トタナティブ・シンキング1
〜必要に応えるためだけに存在するトタン〜

 

孤立法人トタン葺き推進機構は、トタン屋根の劣化防止活動や文化的遺産としての保存活動をおこなう団体です。 通常、機構員はトタンナーとよばれ、トタン屋根にペンキを塗る、建てる、撮る、萌えるなどさまざまな活動をしております。

茅葺屋根に反対しているわけではないですが、よく民家園とかで立派な茅葺の農家が保存されていたり、宿場町が綺麗に保存されていたりするのを見て、綺麗なんだけど何か違うな、と前から思っていたんです。
グッと来ないといいますか。
何でかなと、いろいろ考えてみると、「わざわざ保存」という とこに原因があるのかな、と思い始めました

話とびますが、「有機的」とよく言いますが、「有機的」というのはどうやら端的に言うと「つながりが見える」ということ らしいです。そして、サイクルに乗っているということです。
ビニールはどうも有機的じゃない、というのは土に還れないからそこで「つながり」が切れて
同時に「サイクル」が切れる。
だから有機的じゃないということのようです。

わざわざ保存しなきゃいけない、というのは社会的な有機性が 失われちゃったからではないか。と思います。
茅葺の歴史を調べると、昔は村ごとにカヤバというとこで茅を 育て、予定をあわせて村人総出で葺き替えたらしい。

老若男女それぞぞれに役割分担が決まっていて、お礼はどのくらい、とかも決まっていたらしい。
そうやって助け合ってたシステムに支えられていたからこそあんな大変なことが可能だったんだ、 ということが分かりました。そのシステムが生きていた時代、 茅葺は有機的だったのだと思います。

昔はよかったという話ではありません。

今、茅葺屋根は、雨風 をしのぐ必要に応じるため‘だけ‘に存在することが難しくなった、ということです。
それが「なんか違う」原因なのでした。

やっとトタンの話です。

雪国では雪の影響でトタン屋根の塗装とかメッキがはげ易く、放っておくといつか錆びてしまいます。それを防ぐために何年かに一度ペンキを塗るのです。塗るの はあくまで必要だからです。
トタンはもともと安いので雨風をしのぐ必要に応じるためだけに存在します。
必要に応えるためだけに存在する。
そこがトタンとトタン塗りに強く惹かれる理由なのだ。という ことがわかってきました。

見えを意識しない、飾らない、おごらない、というと結婚式の 聖書の文句みたいですけど。
しかしまあ、トタンにはそういう研ぎ澄まされた存在感があります。
それがトタンの最大の魅力です。

そしてトタン塗り、はプロに頼む場合もありますが、家の住人がやったり、住人が老人だった場合は知り合いとか親戚が請け負ってやるものです。
助け合い、というと甘ったるいのですが、かつて茅葺に見られた、生活を支えるシステム、というようなものが
見えるような気がします。

屋根に手を入れてすむ、そしてそれをみんなで支えあっている。
いいなー。面白いなー。

ならば我々も、そのシステムに参加してみようじゃないか。 無理やりだけど。

そうしたら何かが分かるかもしれない。というわけでトタン塗りをしよう、ということになったのでした。


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